フィリピンは今、サマー・バケーションの時期(らしい)です。
何度か当ブログに書いていますが、常夏の国フィリピンにも季節があります。
普通に暑い時期と、かなり暑い時期と、むちゃくちゃ暑い時期です。
今がまさにむちゃくちゃ暑い時期で、北回帰線の北側にある日本ではあり得ない話なのですが、赤道と北回帰線のあいだにあるフィリピンでは、この時期、太陽の軌道が南側から天頂を通り越して、さらには北側に傾いてしまいます。太陽がまさに真上から照り付けています。
それはそれは信じがたい日差しのきつさで、日向にずっと立っていたり、火の当たる場所で作業をしていたりすると、本当に生命の危険を感じるくらい熱いです。
そんな強烈な日差しのこの時期のことを、フィリピン人は「サマー」と呼んでいるみたいです。外国人の私に対してだけ「サマー」と言うのか、フィリピン人同士でも「サマー」と言うのかはよくわかりません。
サマーであるからには、やはりバケーションの時期らしく、どこそこのビーチだとかリゾートに行ってきたとか、海外に行ってきたというような話をしているお客さんが結構いらっしゃいます。
そんな話を聞いていて、今日は、まだ私がフィリピンに着たばかりの頃、友人と一緒に、ミンダナオ島の田舎町に行ったときのことを思い出しました。
その町に行った目的は「家を買うこと」でした。
同行した友人にはフィリピン人のガールフレンドがいて、彼はガールフレンドの名義で、その田舎町に家を買おうとしていたのです。
ヒマをもてあましていた私は、なんとなくそのカップルに同行して、その田舎町まで出かけていきました。
大して広くもない田舎町ですので、選択肢があまり多くはなく「このくらいのところで手を打っておけばいいんじゃないの?」というような物件が、結構簡単に決まりました。50坪くらいの平屋ですが一軒屋です。

※これは当時撮った写真ではありません。なんとなくこんな感じの家だったというイメージです。
オーナーと交渉した結果、価格はたしか10万ペソ前後だったような気がします。
当時、結構奮発してメッヅの25万円(約12万ペソ)くらいのキューを買ったのですが「あー。キューより安いんだ」と思った記憶があります。
価格が決まったので、正式な売買契約を結ぶために、弁護士のところに行き、契約書を作ってもらおうということになりました。
売る側と買う側が住所や氏名を伝え、物件の場所などを伝え、弁護士がその場で契約書をつくってくれました。
さてサインをする前に、内容のチェックです。
「壁が白で、屋根が茶色で、広さが○○平米の家の所有権を移転する。云々…」
と書いてあります。
家についてはかなり詳しく表記があって、所有者の移転が宣言されているのは確かなようです。
が、土地に関する表記がどこにもありません。
「あのさー。ウワモノだけもらっても、土地の所有権をもらわないと意味ないんだけどー!!」
日本人を騙すなよなーという勢いで、弁護士と家のオーナーに猛烈抗議をします。
しかし、なんだか弁護士もオーナーもポカーンとしていて、こちらの意図が伝わっていない様子。
「だからー。家だけじゃなくて、土地も欲しいの。土地に関するペーパーもちゃんと作ってよー。」
と、繰り返し繰り返しまくしたてると
「あー。土地の権利の書類が欲しいのね。わかった。じゃあ市役所に行ってお金を別途払うことになるけど、いい?」
と弁護士。
うええ。10万ペソで一軒屋って安すぎると思ったけど、やっぱり土地は別料金かー。
ということで、詳しい話を聞いていると、別料金といっても、市役所での登録料のようなものが数千円かかるだけのようです。
つーことは…
「ちょ、ちょっと待って、もしかして、この家のオーナーさんて、土地の所有権持ってないの?」
「土地の所有権はないですよ。」
「じゃあ、あんな家だけ売ってもらってもこまるじゃん。土地の所有者は誰なの? 会わせてよ。」
なんだよなんだよ。全然だめじゃんと思っていると、弁護士が話を続けます。
「土地の所有者というのはいないんだけど、あの家を買ったあなたがたが、あの土地を使うのは自由ですよ。名義はあなたのガールフレンドのフィリピン人なんだから。」
「へ?」
「フィリピン国民なのだから、フィリピンの土地を使うのは自由なんですよ。」
「は?」
「既に他の人が所有権を持っている土地や、他の人が住んでいる土地、海辺や川辺などの居住が禁止されている場所でなければ、自由に家を建てて暮らすことが出来ます。フィリピンの土地はフィリピン国民のものなんですから当然です。」
「勝手に家を建てて、土地を使っちゃっていいの?」
「いいんです。フィリピン国民の権利です。」
「一生、あの家に住んでいれば、一生あの土地を使っていていいわけ?」
「そうですよ。」
「他の人が来て、立ち退けとか言われたりしない?」
「家をきちんと買って、正当な権利で住んでいるんですから、そういう心配はありません。」
「でも、なんか気持ちわるいんだけど。」
「どうしてもというなら、市役所でお金を払って、所有権の登録をすることはできますよ。でも、登録しなくても居住の事実があれば、土地を使用することは出来るので、特に登録する必要はありませんよ。」
「………………」
まだ土地の所有者の決まっていない場所では、家を建てて住んでいる人が自動的に土地の使用権を持つということになるようです。
単に塀で囲って「ここはオレのもの!」というのは通用しないようで、実際に住んでいることが重要なようです。
なんだか、アメリカあたりの開拓時代みたいな感じです。
もちろん、マニラのような都市部には、このような「まだ誰のものでもない土地」というのは既にないんでしょうけれど。
というわけで。
○フィリピンの田舎の町に行く
↓
○まだ家の建っていない土地をみつけてそこに住む。
※日本人ひとりでは無理ダメ。フィリピン人のパートナーと一緒に暮らす。
↓
○自動的にそこが自分の土地になる。
これがフィリピンにおける究極の不動産取得方法です。