5月21日 フィリピン沿岸警備隊による台湾漁船銃撃事件

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フィリピンと台湾の両方が排他的経済水域(EEZ)を主張する海域で、5月9日に台湾の漁船がフィリピン沿岸警備隊による銃撃を受けて船員4人のうち1人が死亡したという事件がありました。

フィリピンのルソン島北端と、台湾は300キロくらいしか離れていません。

その間の海域では、いままでも漁船と沿岸警備隊のもめごと頻繁に起こっていて、台湾側は正式な政府同士のルートでの協議を求めていましたが、フィリピン側は「中国政府とは中華人民共和国政府のこと」といういわゆる「ひとつの中国の原則」に基づき、話し合いに応じていなかったという経緯があります。

今回の事件後、台湾側は
・フィリピン政府による正式な謝罪
・遺族への賠償。
・事件の関係者の処罰。
・台湾・フィリピン間の漁業協議に着手すること。

などを求めていましたが、フィリピン側の対応に不満として、フィリピン人の台湾への就労申請を拒否する経済制裁を発動しています。その後さらに、台湾人のフィリピンへの渡航自粛勧告や経済交流の中止などの措置も追加しました。

現在、台湾国内ではフィリピンに対する国民感情が悪化していて、フィリピン政府は台湾在住のフィリピン人に対して外出を自粛するよう勧告しています。

すでに何人かのフィリピン人が台湾人に暴力を受けて病院で治療を受けるなどの事件も起きしまい、事件から約2週間が経過した現在、状況は泥沼化一直線の様相です。

銃撃事件そのものに関してはなんとも言えませんが、その後のフィリピン・台湾間の対話の泥沼状態に関しては、やはり「フィリピンのグダグダ感」が大きく影響しているなあ。と思わざるを得ません(お世話になっているフィリピンの悪口を言うのは気が引けますが)。

外交。とりわけ今回のような事件性のある事案に関しては、正確な事実の積み重ねや分析にもとづく主張なり、対話なりが必要だと思うのですが…

これら
「正確」
「事実」
「積み重ね」
「分析」
などなどは、フィリピン人がいちばん苦手とする分野なんですよね。
たとえば、

◎事件現場はフィリピン側は「フィリピン領海内」であったと主張。台湾側は「双方の排他的経済水域内」だったという主張で、台湾側はGPSのデータなどを出してきているのですが、フィリピン側からは記録なり証言なりの提示は何も無し。

◎フィリピン側は「漁船が公船に衝突しそうだったので止むを得ず撃った」と主張。台湾側は「漁船と台湾海防の連絡記録からフィリピン側が漁船を追い回していた」と主張。
その後フィリピン側は「逃走を止めるために操縦室を2発撃った」といい変えたところ、「弾痕は50箇所以上ある」と台湾側から反論がありました。

◎これらの経緯をうけてのことなのか、フィリピンのアキノ大統領が事件から6日後の15日に「深い哀悼と謝罪」を表明。

フィリピン側のコメントのグダグダ感から、ワタシは「悪気はないんだけど、調査能力不足、事実把握能力不足」というフィリピンの弱点を感じてしまいます。

この弱点からくるグダグダで後手後手の対応が、悪気はないにもかかわらず、台湾側からは「誠意がない」と受け取られてしまっているのは、外交上とっても損です。

日本人が得意な「正確な事実の積み重ねと分析」ですが、フィリピンで暮らして約6年が経過してなんとなく最近感じます。これが簡単にできる背景には、幼児の頃からの躾だとか、小学生レベルからの教育、学校や社会による集団行動の大切さの刷り込みなど、それこそ何十年もかかる積み重ねの結果であり、日本的な生活が非常にたくさんのものを犠牲にしてきた結果でもあります。

フィリピンに「正確さ」とか「積み重ねが大事」というコンセプトが根付くのは(根付くとしたら。根付く必要も無いかもしれませんが)何十年か何百年かかかる気がします。
posted by ワンサイド at 06:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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